「滝沢歌舞伎」から学ぶ日本のアレコレ

「鼠小僧」で、団子屋の看板娘・おまるちゃんが「いい加減にしてちょうだぁぁぁい!!!」と怒鳴る場面がある。

(今年はなかったっけ…2016年のDVDには絶対あるはず)

そこで、彼女はこう続ける。「あんたたち、お銚子一本でいつまでも粘ってるんだから!」

ニュアンスというか言いたいことはなんとなく分かる。現代で言うなら「コーヒー1杯でスタバに長居するんじゃねぇー」的なことだ。

だから、1年近くスルーして来てしまったが、「お銚子一本」って何だ?…と。

恥ずかしい話であるが、脳内変換では「お調子」だと思って聞いていた。「お銚子」だったんですね。

で、「お銚子」というのが何かというと、ググった結果、「金属製で柄杓のように長い柄のついた、酒を入れて盃に注ぎ移すための器」とのこと。画像検索もしてみたが、金属製の急須のような形のようである。

へえ〜知らなんだ〜!とっくりとよく間違われると書いてあるが、画像を見てみると全く異なるもののようだ。まあどちらにしても、おまるちゃんが言いたいのは「安い酒でいつまでも長居するんじゃねぇー!」ということのようである。お茶じゃなくてお酒なのか。納得。

じゃあ昼間っから働かずに団子屋に通いつめて酒を飲んでる菊三さんは何なの…?という疑問が生まれるがそこはまあ置いておいて。

 

次いで気になるのは、団子屋に来る皆さんの身分だ。

何となく宮ちゃんが偉そうで、健ちゃんがへこへこしてるな…と、ここもまたぼんやりと観ていたので、きちんと調べてみた。

宮舘涼太演じる徳俵進之介は「同心」である。同心は現代で言うところの警察官(公務員)、幕府に雇われている武士のことだそう。

確かに劇中の徳俵さんのセリフで「次に鼠を捕り逃したらお奉行様に腹を切れときつく申しつけられているのだ」(ニュアンス)(訂正:最初の更新で「十手を返すように」って書いてしまいましたが違いましたスミマセン)といったものがある。幕府から身分証の代わりに十手を預けられて(もらっているのではないらしい)江戸の警備を任されている身分であることがうかがえる。

そして、三宅健くん演じる人形町の仙吉親分、今年はいないけど岩本照が昨年演じた嫌われ者の蔵前の九郎次親分は「岡っ引き」である。岡っ引きは幕府から雇われているのではなく、同心らがポケットマネーで雇っている手下だとのこと。

徳俵さんが仙吉親分や九郎次親分らを怒鳴り散らしているのは「雇用主」だったからなんですね。何となく身分が上なのは伝わったが、自費で雇っているとは驚きである。

滝沢歌舞伎における岡っ引きたちは自称したり、みんなにも「岡っ引きの〜」と呼ばれることもあるが、本来は蔑称であるため、「御用聞き」というのが正式な呼び方だそう。うーん、でも岡っ引きという言い方の方が知名度があるというか伝わりやすいから、あえてそうしたところもあるかもしれませんね。

そして、林翔太や京本大我らが演じていた岡っ引きの手下たちを「下っ引き」と呼ぶ。昨年は京本が人形町の仙吉親分の、そのまた下っ引きの小次郎!」と自己紹介していたはずだ。岡っ引き自体が雇われアルバイトのようなものなので、下っ引きたちは文字通り下っ端のようである。 下っ引きは自分の直属の上司を「親分」と呼ぶ。

 また、私も先日のブログで阿部亮平演じる菊三を「町人A的なポジション」と言ったが、これも間違った表現だったようだ。

私は単純に「江戸の町に住んでる人」の意味で使ってしまったが、本来はちゃんと職人・商人を表す言葉で、士農工商の「工商」の役割を担っていた身分だということ。

多分菊ちゃんたちはプータローっぽいので、「庶民」というのが正しかったのだろう。それか「ちょうにん」というか「まちびと」と読めばセーフ?  どちらにしろ、謹んでお詫びして訂正いたします。

 

改めて調べてみると、想像以上の自分の無知さに驚かされてしまった。でも、きっと理解した上で観劇すれば、もっともっと楽しくなるはず。とても良い勉強になった。

…と、こんなドヤ顔で書いてしまったが、高1で日本史とオサラバした無知な女がググりながら書いた記事なので、あくまで参考程度に読んでくださいませ。気になる方は、ちゃんとご自身で図書館などで調べていただくことをオススメします…

歌舞伎の「大向こう」 というのも滝沢歌舞伎きっかけで覚えたなぁ。「イヨッ、滝沢っ!」「待ってました!」というアレのことである。三階正面の方が声がけするそうで、ちゃんとプロの大向こうさんがいる。本来は屋号を叫んだりするもののようだが、滝様にも健ちゃんにも「◯◯屋」のような屋号はないので、「滝沢っ!」「三宅ぇっ!」と叫ばれているのですね。

今後も疑問に思ったことはちょこちょこ調べて、ただ「阿部くんかっこいい♡」で終わってしまう舞台にならないように心がけていきたい。